酵素ドリンクを飲んで不調を感じた場合に考えられることは?

インナービューティへの取り組みの一つとして近年、注目が高まっているのが野菜や果物などを発酵させて作られた酵素ドリンクです。
しかし、食物アレルギーがあることから、酵素ドリンクを飲むことでアレルギー症状が出ないか心配という方もいるでしょう。
そこでこの記事では、酵素とアレルギーの関係や大人の食物アレルギーのメカニズム、酵素ドリンクを飲んで不調を感じた場合に考えられることについて解説していきます。
食物アレルギーアレルギーのある人は、酵素ドリンクを手に取る前にぜひ目を通してみてください。

酵素とアレルギーの関係

そもそも酵素とは、人や動物、植物、微生物など、全ての生き物が生命を維持していく上で欠かせない消化や吸収、代謝といった生体反応を促進するたんぱく質のことを言います。
酵素には、常温・常圧・中性phに近い環境において、特定の物質のみに作用する特性があります。
例えば、消化酵素は食べ物を分解して体に吸収しやすくし、また代謝酵素は体内に吸収された栄養素を細胞に届けます。
このような優れた特性を応用して、食品工業の分野でも様々なシーンに使用されています。
その一方で、酵素は時にアレルギー反応を引き起こすこともあります。
多くみられる症状は、皮膚のかゆみや発疹などです。
人によっては咳や喘息といった呼吸器症状が現れたり、重度の場合には呼吸困難や血圧低下などのいわゆるアナフィラキシーショックを発症したりすることもあるため注意が必要です。

大人の食物アレルギーのメカニズムと対処法

酵素の中でも、果物や野菜に含まれるたんぱく質分解酵素は、気道の粘膜周辺にかゆみや腫れ、酷い時にはただれなどの症状を引き起こします。
また、果物・野菜アレルギーは、実は子どもよりも大人に多い傾向にあることが分かっています。
そこで、ここからは大人の食物アレルギーのメカニズムとその対処法をご紹介します。

大人に多い食物アレルギーの原因

子供の食物アレルギーで多いのは卵や牛乳、小麦などですが、大人の食物アレルギーでは以外にも果物や野菜が多いことが分かっています。
その原因の一つに、大人の食物アレルギーには花粉症が深く関わっていることが挙げられます。
花粉症は、花粉を吸いこむことによって引き起こされる免疫反応ですが、花粉と果物や野菜に含まれる成分は非常に似ています。
そのため、特定の果物や野菜を食べた時に免疫細胞が花粉と勘違いしてアレルギー症状を引き起こすことがあるのです。
これを「交差反応」と呼び、子供の食物アレルギーでは全身の皮膚にかゆみや発疹が現れるのに対して、大人の食物アレルギーでは、口やのどだけに症状が出ることが多く、特に唇や口内、喉などにかゆみや腫れが出現するのが特徴です。
果物・野菜アレルギーの原因として多い食材は、モモやキウイ、パイナップル、イチジク、トマトなどです。

大人の食物アレルギーの対処法

食物アレルギーに最も効果のある対処法は、原因となる食物を避けることです。
ただし、
果物や野菜でアレルギー反応が起きる人には、重度の花粉症患者が多いです。
その場合は、食生活や生活習慣を見直して花粉症を和らげることで、食物アレルギーの改善につながることがあります。
例えば、砂糖が多く含まれるお菓子をたくさん食べている人は、それを控えることで体内の炎症が軽減し、花粉症が改善したというケースが報告されています。
花粉症以外に起因する食物アレルギーでは、食品を十分に加熱するという対処法もあります。
特に、果物のアレルゲンは熱に弱いため、加熱加工されたジャムや缶詰であれば症状が出ない人も多いです。
いずれにしても、果物・野菜アレルギーがあってもどうしても食べたいという人は、主治医と相談することをおすすめします。
また、原因食物を食べてから2時間以内に激しい運動をすると症状が現れる「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」の場合は、時に命にかかわる重篤な症状を引き起こすため、食事後すぐの運動は控えて速やかに専門の医療機関を受診してください。

酵素ドリンクを飲んで不調が起きた際に考えられること

上記でもご紹介した通り、大人の果物・野菜アレルギーは加熱によってアレルゲンを分解することで症状が出ないことが多いです。
同様に酵素ドリンクも、野菜や果物をそのまま使用しているわけではなく、素材や菌が持つ酵素を微生物の働きによって分解・発酵させてあるため、アレルギー症状は出にくくなっています。
それでも、酵素ドリンクを飲んで何らかの症状や不調が起きた場合は、主に以下の2つのパターンが考えられます。

酵素ドリンクにアレルゲンが含まれている場合

酵素ドリンクは、野菜や果物、海藻、きのこなど様々な食物から作られています。
そのため、酵素ドリンクの原材料に自分のアレルゲンが含まれていれば、アレルギー症状が出てしまうのも当然と考える人が多いでしょう。
しかし、実は必ずしもそうとは言い切れないのです。
なぜなら酵素ドリンクは、野菜や果物をそのまま使用しているわけではなく、素材や菌が持つ酵素を微生物の働きによって発酵させてあるからです。
実際に、低アレルゲン化商品として市販されているものの多くは、酵素を用いて元々の素材を低分子化したペプチドなどに分解することによって、アレルゲンの分解や除去が試みられています。
つまり、きちんと酵素成分や栄養素を抽出し、完全発酵されている良質な酵素ドリンクであれば、原材料にアレルゲンが含まれていたとしても分解されているため症状が出るとは考えにくいと言えるのです。
ただし、完全発酵していない酵素ジュースや生の果汁が入っている商品の場合は、アレルゲンが変化せずにそのままとなっているのでアレルギー反応が起きてしまいます。
酵素ドリンクを選ぶ際は、どのような作られ方をしているのかをしっかりと確認することが大切です。

酵素ドリンクにアレルゲンが含まれていない場合

稀ではありますが、酵素ドリンクの原材料にアレルゲンが含まれていないのに症状が出る場合があります。
その原因の一つとしては、アレルギー反応ではなく好転反応の可能性があります。
好転反応とは、健康食品やサプリメントの摂取により、前向きな効果が表れる前の一時的な不調です。
具体的には、吹き出物が増えたり、お腹が緩くなったりといった症状が報告されています。
これは、その商品を摂取したことによって毒素の排出が促されているために起こるものと考えられています。
ただし、中には自分が自覚しているアレルゲン以外にも、何かしら合わない成分が含まれているケースもあるので注意しなければいけません。
例えば、人工甘味料や香料、酸化防止剤などの食品添加物でもアレルギー症状が出る人もいるため、不調が長引く場合や一度でも重度のアレルギー症状が現れた場合には直ちに使用を中断し、医療機関を受診するようにしましょう。

今回は、酵素とアレルギーの関係や大人の食物アレルギーについて、また酵素ドリンクを飲んで不調を感じた場合に考えられることをご紹介しました。
酵素ドリンクは野菜や果物を使って作られているため、摂取することで食物アレルギーが出ないか心配という人もいるでしょう。
しかし、基本的には酵素の力によって素材に含まれるアレルゲンが分解されていて、なおかつ完全発酵されている酵素ドリンクであれば、アレルギー症状が出ることは考えにくいです。
ただし、シロップに酵素成分を加えただけの発酵が不十分な酵素ジュースや、生の野菜エキスや果汁が入っている商品だと症状が出てしまうため、注意が必要です。
また、野菜や果物以外にも香料や甘味料などの添加物によってアレルギーが引き起こされることもあるので、酵素ドリンクを選ぶ際は作られた工程や原材料をよく確認した上で選ぶようにしてください。