酵素と発酵の違いって何?酵素ドリンクを発酵させると何がどう良くなる?

インナービューティーへの関心が高まると同時に注目を集めているのが、酵素ドリンクです。
一般的に酵素ドリンクは、製造の課程で酵素を発酵させていることが多いため、発酵ドリンクと呼ばれることもあります。
しかし、酵素だけでも十分体に良いイメージがあるのに、「なぜわざわざ発酵させるの?」、「酵素だけでは効果がないの?」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、酵素と発酵の違いや酵素ドリンクを発酵させるメリットを解説していきます。
酵素ドリンクの本当の効果を知るために、発酵と酵素の関係について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

発酵と酵素の違いとは?酵素ドリンクに発酵が必要な理由

まずは、酵素ドリンクに発酵が必要な理由を分かりやすくするために、発酵と酵素の違いから解説していきます。

発酵と酵素の違い

「発酵」とは、乳酸菌や麹菌、酵母などの微生物の働きによって食物が変化した結果、人体にとって有益なものができる現象を言います。
一方「酵素」とは、たんぱく質の総称であり、微生物のような生き物ではないものの、人間や動物、植物などが生きる上で欠かせない消化、吸収、代謝といった化学反応を促す働きがあります。
人の体には、約5000種類もの酵素が存在すると言われていますが、それぞれが持っている働きは1つです。
例えば、「アミラーゼ」には炭水化物を分解する働きしかなく、「プロテアーゼ」にはたんぱく質を分解する働きしかありません。
また、酵素はそのほとんどがたんぱく質で構成されているため、温度やpHの変化に敏感で限られた条件下でしか働かず、加熱すると構造が変化して本来の機能を失ってしまいます。

酵素ドリンクの製造過程における発酵の重要性

先述の通り、酵素とはたんぱく質であり、ただ酵素を飲んだだけではたんぱく質を摂取しているのと変わりありません。
しかし、一般的に販売されている酵素ドリンクの多くは、製造過程で発酵処理が行われています。
発酵・熟成の期間は各メーカによって異なりますが、新鮮な野菜や果物、きのこ類などを、乳酸菌をはじめとする微生物が持っている酵素の力で分解することで、代謝物として新たな栄養成分がたくさん生み出されます。
つまり、酵素ドリンクは発酵処理を経ることで、より栄養価の高いものが完成するということなのです。

酵素ドリンクの発酵に用いられる主な微生物

酵素ドリンクの発酵に用いられる微生物には様々な種類がありますが、代表的な微生物は以下の4つです。

・乳酸菌
・酵母菌
・酢酸菌
・麹菌

ここでは、それぞれの特徴と働きについてご紹介します。

乳酸菌

乳酸菌は、納豆やヨーグルト、チーズ、漬物などを作る際に加えられる微生物で、善玉菌の代表格としても知られています。
悪玉菌や大腸菌の増殖を抑えて腸内環境を整えてくれるので、便秘の改善、コレステロール値の低下、免疫力の向上といった効果が期待できます。
また、乳酸菌が糖類を分解することで生成される乳酸には、pHを下げて食中毒の原因となる細菌などの増殖を抑制する働きがあるため、食品に加えると保存性がアップします。

酵母菌

酵母菌は、糖をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物で、パンやビール、日本酒、ワインなどに含まれています。
食物繊維が豊富に含まれていることから、悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整える他、糖が体内に吸収されにくくなります。
また、免疫機能を高めるのに有益な「βグルカン」という成分が含まれているため、免疫力のアップも望めます。

酢酸菌

酢酸菌は、アルコールを酢酸に変化させる細菌で、お酢をつくる上では欠かせません。
酢酸が生成されることでpHが低下し、他の微生物を寄せ付けない環境になるため、防腐・殺菌に効果的で、食品の保存性がアップするのも特徴です。
クエン酸を豊富に含んでおり、腸内環境を整えて便秘を解消したり、食欲を増進したりする効果も得られます。
また、免疫機能を活性化させて、花粉症などのアレルギー症状を軽減させる働きもあると言われています。

麹菌

麹菌は、糸状菌と呼ばれるカビの1種で、麹をつくるのに使われます。
でんぷんを糖に分解するアミラーゼや、たんぱく質をアミノ酸に分解するプロテアーゼなど多くの酵素を生成します。
酵素が持つ分解力で、食べ物が柔らくなったり細かくなったりして、体内で効率よく消化・吸収できるようになります。
また、酵素によって生成されるオリゴ糖がエサとなって、腸内の善玉菌が活性化して腸内環境にも良い影響を与えます。
さらに、ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富につくり出すため、美容促進や疲労回復にもつながります。

酵素ドリンクを発酵するメリット

酵素ドリンクは、新鮮な野菜や果物などに上記でご紹介したような微生物を加えて発酵させることで作られています。
ここからは、酵素ドリンクを発酵させることで、どのようなメリットがあるのかをさらに詳しく見ていきましょう。

栄養価がアップする

身近な発酵食品を例に挙げると、例えば大豆を発酵させてつくる納豆は、発酵前の煮大豆に比べるとビタミンB2が約10倍、葉酸が約3倍にまで増えます。
また、納豆に豊富なビタミンK2も、大豆の時にはほとんど含まれていないことから、発酵によって新しい栄養成分が加わっていることも分かります。
このように、食べ物を発酵させることで、微生物の働きによってビタミンをはじめとする様々な栄養成分が増加・生成されて、より高い栄養価を得られることが大きなメリットと言えます。

保存期間を延ばせる

微生物界では、ある環境下に特定の微生物が一定数以上いると、他の微生物が繁殖できません。
従って、発酵を促す微生物が増殖すれば腐敗菌が寄り付かず、保存期間が延びるのも発酵のメリットです。
また、発酵によって作り出される乳酸や酢酸、アルコールなどは、それ自体に殺菌効果があるため、雑菌の繁殖を抑制できます。
そのため、保存料を使用しなくても長期間、美味しさを保てるようになります。

香りや味わいが良くなる

食品を発酵させると、香りや味わいが変化して食べやすくなります。
これは、発酵によって味覚の一つである「うま味」のもとと言われているアミノ酸やグアニル酸、イノシン酸などの成分が生まれるからです。
発酵食品に多い独特の香りも、発酵の過程で微生物の作用によって発生する香気成分です。
酵素ドリンクを選ぶ際は、自分の好みに合った香りや味のものを選ぶと続けやすいでしょう。

消化や吸収の効率が良くなる

発酵を促進する微生物は、体内では分解しづらい食物繊維もどんどん分解して、成分を細かくすることができます。
そのため、発酵食品には柔らかくて食べやすいものが多く、消化・吸収もされやすいです。
同様に、しっかりと発酵・熟成された酵素ドリンクは、素材が低分子化していることから、消化・吸収の効率が良いです。

今回は、発酵と酵素の違いや酵素ドリンクに発酵が欠かせない理由、発酵した酵素ドリンクを摂取するメリットをご紹介しました。
酵素そのものを体内に取り入れても、たんぱく質を摂取しているのと何ら変わりはありませんが、酵素ドリンクは発酵という過程を経ることで栄養価を大幅にアップさせています。
さらに、その栄養は発酵を促す微生物によって低分化されていていることで、栄養を効率的に消化・吸収できるため、食べ過ぎや飲みすぎで胃腸を休めたい時にはピッタリの食品と言えます。
これから酵素ドリンクを取り入れようと考えている方は、健康・美容効果に加えて、発酵による独特の良い香りや味わいもぜひ楽しんでみてください。